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研究の紹介

次世代モビリティパワーソース研究センターでは自動車からのゼロエミッションを目指し、パワートレインの高効率・低エミッション化技術、実走行時の燃費やエミッションの計測とモデリング、V2X(Vehicle to Everything)を考慮した動力源・ドライバの制御について、基礎的な検討から実証研究まで行っています。

シャシーダイナモを用いた研究

平成26年度に、文科省の大学教育研究基盤強化促進費で車両性能試験用のシャシーダイナモを導入しました。シャシーダイナモはローラ上に車両のホイールを乗せ、実際の道路を模擬して動的実験を行う装置です。実際の道路を模擬するために、ローラに道路と同じ走行抵抗(負荷)を与えて近似した状態で実験を行うことができます。また、200 km/h付近まで模擬可能な車速比例送風ファンを用いることで空気抵抗や車両冷却に関するデータも取得可能です。 現在、モデルベース開発(MBD)促進に向けた研究ベースモデルの開発や、試験結果を学習した人工知能による車両同定を行っています。

安定・高効率に熱電供給を実現できる次世代天然ガスコージェネシステムの技術開発

ガスエンジンの超高負荷運転には超高過給化が必要になる一方、異常燃焼や失火などの燃焼不安定化を招きます。そこで、エンジン燃焼に関わる諸条件を工夫することで、燃焼不安定化を抑制しながら、現行のエンジン仕様のおよそ1.5倍となる、正味平均有効圧力(Pme)=3MPaを実現しました。超高負荷運転の実現により熱効率も高まるため、ガスコージェネの発電効率の向上が期待できます。特に、ガスコージェネを導入したものの、排熱を使いきれずに十分な経済効果の得にくかった電力需要の高い施設に対して、本技術を展開することで、省エネルギー効果が期待できます。  今回の試験用単気筒ガスエンジンシステムに採用した超高負荷燃焼方式を、今後、民間のガスエンジン開発に活用を促すことで、ガスエンジンの発電効率の向上を目指します。

PEMSとシャシーダイナモを利用した過度性能と実路エミッション研究

平成26年度に,文科省の大学教育研究基盤強化促進費で車両性能試験用のシャシーダイナモを導入しました。エンジンベンチで測定が難しい過度条件、走行モードや車両全体の性能実験を実施しています。 最近時では、自動車の実路排出ガスの低減が求められ、実路エミッションの研究の重要性は高まっています。シャシーダイナモシステムと車載可能な計測システム(PEMS:Portable Emissions Measurement System)を利用して、実路速度プロファイルに基づく走行時の実路排出ガスをの調査・研究を実施しています。それとともに、実路条件(路面、勾配、気温、負荷など)が排出ガス・燃費に与える影響を研究する予定です。

※PEMS(Portable Emissions Measurement System)...車両に直接搭載し、規制対象となる自動車排出ガス(CO, CO2, THC, NOx)を分析する装置です。実路走行中の測定が可能となるため最も実状況が研究できるという特徴を有しています。

過給リーンバーンにおけるサイクル変動・気筒間バラつきの要因解析

高過給エンジン筒内の異常燃焼発生要因などの現象解析のために,ピストン・シリンダに光学アクセス可能な観察窓を備えた可視化エンジンや,エンジン実機にエンドスコープを取り付け,燃焼室内の燃焼過程の高速度撮影や,光学計測に取り組んでいます。

高過給ガソリン機関の筒内圧力振動の測定

燃費改善技術として過給ダウンサイジング技術が広く導入される中、低回転・高負荷域でのプレイグニッション、およびそれに続くスーパーノックによる機関の損傷が問題となっています。高過給エンジン筒内の異常燃焼によるエンジン部品の損傷メカニズムの解析のために、シリンダ側面からエンジン筒内の圧力を測定し、エンジン筒内及びトップランドでの圧力振動の測定に取り組んでいます。また、数値シミュレーションによる圧力振動の詳細な現象解析も行います。

過給機テストスタンド

自動車用ターボ過給システムの性能試験、熱・摩擦損失の現象解明、ターボチャージャのモデリングのための基礎データ取得を目的に、ターボチャージャの単体性能試験を行うテストスタンドです。 圧縮空気による「コールド試験」と、最大1000℃の高温高圧条件による「ホット試験」の両試験が可能であり、様々な運転条件下におけるターボチャージャの性能試験を行っています。 また、トルクメータを付けた動力計を、増・減速機を介してターボシャフトに連結することにより、モータによる駆動と吸収、フリクショントルクの直接測定を可能としています。

ディーゼル機関における後燃え現象の解明

本研究は,内閣府が主導する「戦略的イノベーション創造プラグラム(SIP)」の中で,“ディーゼル燃焼チーム”の一員として熱効率50%の実現に向け取り組んでおります。 ディーゼルエンジンにおいて,熱効率を向上するため燃焼期間を短縮し等容度を向上することが求められておりますが,燃焼期間を長引かせる要因となっているディーゼル燃焼特有の“後燃え”現象についてはその影響因子が十分に解明されておりません。本研究では,後燃え期間における熱発生領域の筒内分布や燃焼速度の律速要因を解明するために,実機シリンダ内の可視化や燃焼圧解析を最新のディーゼル機関に用いた研究を進めています。


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